さびのらいhuのーと

未定暫定腐ってる感じの何かご用心

ここへ漂着された方へ。
こちらはSavi(さび)によるMMORPGTW(テイルズウィーバー)腐二次創作を中心としたブログです。
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さしずめ紅い、お星さま⑤

ジョシュシべ・腐(R18)

 さしずめ紅い、お星さま

 ーーオレの紅いお星さまーー

 

 

 


「シベリン」
いつもの時間いつもの面子での夕食、もうそろそろ食べ終わるかというところでとっくに食べ終えてテーブルの端に座っていたジョシュアが立ち上がる。
「ん〜?」
フォークに刺さったデザートの西瓜を口に運びながら相も変わらず二人でいるときと雲泥の差のある態度のシベリンは、何の感情も混ざっていないあっさりとした顔でジョシュアの方を向いてくる。
「この後、おいで」


「ーん、わはった」
シベリンはほんの一瞬止まったものの何でもないような風で咀嚼しながら了承していたが、内心はわざわざ皆揃っている前でなにを言い出すのか。しかもおいでだなんて、あからさまに自分たちのパワーバランスが知れるような…ジョシュアの方が主導権を握っていると皆が分かるような言い方に焦っていた。
今じゃなきゃだめだったのかよとシベリンは思ったが、ジョシュアとしては今言うことで大体は食後すぐ酒場や自室に消えてしまうシベリンを確実に呼び寄せられるわけで。
デフォルトでシベリンを下に見たがるマキシミンはそのやりとり自体を気にしていないようで、煙草の残りを数えるのに忙しい。ランジエはシベリンが努めて何でもないように返事をした事で気心知れた仲故のジョシュアの言い方だったのかな、と腑に落ちた顔をしている。
どんな仲かはさておき、目上はもっと敬った方がいいのではという視線を冷やかに投げて来るボリスの横からなんの他意も猜疑心もなくルシアンから放たれた、
「アハハ、おいでだって、犬みたいだね!」
が酷くシベリンに刺さっていたようだが、ジョシュアは軽く笑んでトレーを手に立ったシベリンの肩を押すと食堂を後にした。

半歩ほど先を歩くシベリンの後ろ姿は凛としていて、歩調に合わせてゆるく揺れる赤毛が華やかですらある。
―が、1階、2階…と上がっていくうちにシベリンの歩く速さが鈍くなってきて。
「矜恃云々よりも睡眠を優先すべきではないかな」
3階へ上がりきり、ジョシュアの部屋のドアの前に立ったシベリンを横から見ると欠伸を噛み殺しすぎてうっすら涙ぐんでいた。
「…るさい…別に平気だよ」
目尻に溜まった涙を拭きもしないのでジョシュアが指で拭ってやるとシベリンははっとして誰もいない廊下に人影がないかを一応確認すると悔しそうに睨んできた。
先日咥えさせてイかせた羞恥の極みが余程ショックだったのか、数日自分から逃げるように過ごしていたシベリンが取れていないであろう睡眠時間に心配をしてこうして連れてきたのだ。
「外だと反抗的なんだね」
「………っわ!」
渋い顔で開いたドアの中に入ろうとしないシベリンの背中を強引に押し入れてから内鍵を閉めた。
よろけた所に更にもうひと押しして壁際に追い詰めると、もう食堂で見せていたクリアな表情は形を潜め、何も言えずジョシュアの表情を覗うように見てきて。距離を詰めるとびくりと肩が竦む。
「嘘をつかない、我慢しないって…」
空調の効いていない中庭や廊下を歩いてきて少し汗ばんだ頬を嗅ぐようなジョシュアの顔の寄せ方に耐えるようにシベリンが目を細める。
「オレ、教えたよね。」
ぎゅっと結んだ唇を開けろと言う様にぺろりと舐めてやると、すぐに薄く隙間ができる。
真近できれいに笑むジョシュアに、シベリンの顔は凍りついている。彼がこうして笑うときは大体ろくなことが無いからだ。
「ん……っ」
しかし嬲られるかと身構えたがそんなことはなく、軽いキスのあと軽く唇をあわせたまま、ジョシュアは「西瓜の香りがする」と笑った。

 

「アップルパイだ」
シャワーで汗を流して出てきたシベリンの目に飛び込んだのはテーブルの上の酒とアップルパイという不思議な組み合わせだった。ジョシュアの部屋には前本人がルシアンに向けて言っていた通り菓子も甘いジュースももちろん酒もなく、出てくるものと言えばカットされた果実の入った水や炭酸水か紅茶やコーヒーだ。
「どうしたんだ、これ」
いつの間に知れたのかわからない好物のアップルパイが出てきたのは2度目だが、酒までついているとは。
「呑んだ方がより眠れるかなと思って」
喜色をあらわにするシベリンにそう答えながらジョシュアはもはや当たり前のように濡れた髪や身体を拭いてやる。どこにタオルを当てても嫌がる素振りはない。細かいところから恋人の日常を自分寄りに塗り替えて行くのはきもちがいい。
「お酒はほどほどにね」
そう言いながら差し出すグラスは大きめのものだったがシベリンは特に気にせずにそれを受け取った。

 

小さなアロマキャンドルの灯りが寝入ってしまったシベリンの横顔を照らしている。ジョシュアの思惑通りグラスいっぱいに酒を注いで呑みはじめた彼はそれを勢い良く飲み干し、疲れ切った身体にあっという間にアルコールが回ったのか、程なくして座っていたベッドに崩れるように眠りに落ちた。
「なんにもなくて油断しちゃった?」
答えを聞けるとは微塵も思っていないがそう問いかけて。眠るシベリンを見下ろすジョシュアの手には何かオイルの瓶のようなものが握られている。
――こんなこと、普通に起きている時にしたら怪我させちゃうかもしれないしね。
ほぼうつ伏せに近い形で横になっているシベリンの背後から、今日はとりあえずこれを羽織っていて、と渡した厚手のバスローブの裾を少し捲ると程よく筋肉の付いた太腿が露わになる。ジョシュアはオイルをたっぷりと自分の手のひらに垂らすと太腿よりもっと上のーー今は見えないが何度も見たことのある形の良い尻の奥へ手を伸ばす。
オイルの滑りを頼りに人差し指の先をぬ、と穴に差し込んでみると、流石酔い潰れて寝ているだけあってなんの抵抗もなくするりと入っていく。
結っていないので顔に掛かって目元を隠してしまっている赤毛をそっと梳いて様子を窺うと、閉じた瞼はたまにぴくぴくして、少し空いた唇から規則的に息が吸っては吐き出され、深く眠っているようだった。
よもや後ろに指を差し込まれているとは思ってもいないだろういとけない寝顔にジョシュアはなんとも言えない高揚感を抱く。
はじめはぬくぬくと暫く浅く出し入れしていたが、まだ余裕で奥へ行けそうなので熱く柔らかいそこへ更に深く指を収めてみる。
「…ふ…」
入れられた指に圧迫されたように口から出た息のようで、起きた様子はない。熱くふにゃふにゃとしているが決してゆとりがあるわけではないそこに隙間を作るように内壁を擦ったり入り口を撫でてみたり、寝ているからか締め付けてくる感じはあまり無いそこは出来心で隙間から滑り込ませた中指もゆっくりと飲み込んでいく。
2本目の指を完全に咥えこまされた時点で、シベリンの身体が熱くなってきていることに気づく。空調が効いているのに露出した部分の肌は少し火照り、首筋にはうっすらと汗が滲んでいる。試しに2本の指を入る限界までじわりと差し込んでやると、苦しげに息を吐きながら「うう」と顔を振った。
「ちょっときもちいいのかな?やらしいね」
――もし起きていたら、顔を真っ赤にして、いやらしいのはどっちだ、こんなの、お前のせいだと半分も言えずに泣き出すだろうな。
想像して雄の本能が疼くがまだ早い。ジョシュアは自分の額から汗が一筋垂れてきているのに気づいて苦笑した。
――笑った顔が見たいのに、泣かすようなことばかりしてしまうな。
表では凛として落ち着いた様子のこの男が、自分の前でだけ初心の少年のようにあっさりと手管に飲まれ目尻に涙を浮かべていたりするその様がひどく劣情を掻き立てるのだ。
「ふっ…あ…」
シベリンは全く起きないが、半時ほどじっくりと後ろを弄んでいくうちに時折身体が細かく震え、頬にはあかみがさし、中は驚くほど熱くなってしまい口からは明らかに快感を拾ったような、これまでに聞いたことのないような声を漏らしている。ジョシュアはうっすらと汗ばんだ顔を腕で拭うとこれは酷い我慢大会だなと溜息を付いた。
ジョシュアの指を3本飲み込んだそこはめいっぱいまで指をすすめるとひくひくと収縮する。
―このまま思いを遂げてしまいたいけど、酔って寝ているところを抱くのはだめだ。
「もう少し寝かせてあげるよ」
名残惜しくシベリンの後ろから指を引き抜くとびくりと体が震える。前を触って確かめると、緩くたちあがっていた。
寝起きに抱けば目も覚めていい反応が拝めるだろう。猛る欲に崩れそうな理性をなんとか立ち直らせて、ジョシュアは頭を冷やしにシャワールームへ向かった。

 


―――あつい。


ふ、と意識が浮上する。
空調は効いている、そういうあつさではない。シベリンは背後で寝ているであろうジョシュアを振り返ってみようとしたが、身体が動かない。
自分が横向きではなくうつ伏せの状態で背後から抱きすくめられているのだと気づいて、シベリンは自分の欲が何故かおかしな程高まっていることにも気づく。それに何故か下着もつけていない、しかもぬるぬるとした下半身の後ろに何か熱いものが押しつけられている。
片方の腰骨をぐぐ、と掴んで腰全体をベッドから浮かされ、何かうっすらわかっているその熱いものがどんどん押し付けられて。
「ジョ…」
一言も言い終えないうちに空いた片手で口元を押さえられたかと思うと、後ろにゆっくりとそれが入ってきた。
「んんん…!!」
押さえられていなければ、どれ程の声量で叫んでいたかわからない。

――まさか、なんで、なんで挿入って…?!

酷い圧迫感に勝手に背がしなり、やめてほしくて身じろぎするがジョシュアの欲は止まらずにどんどん入ってくる。慣らされた覚えのないシベリンは殆ど痛みを伴わずに侵入を果たされたことに混乱し、初めての感触に震える身体を止められず、口元は塞がれているので必死に鼻で呼吸をして煩いくらい鼓動する胸の音を静めようとする。

ゆっくりとシベリンの中に侵入してきたそれは体内を傷つけはしないがその熱い存在感が凶器のようで、苦しくて。口に咥えさせられたあの質量がまさかあんな、考えたくも無い場所に。
「ん、んっ」

すべて入ったか確かめるように、1度だけ緩く突かれただけで刺激に耐えられない身体が勝手にびくびくと戦慄く。
「ふぅ、…入ったね」
「ん…っう、う」
髪ごと襟足を舐めあげられぞくぞくとしてしまう。ジョシュアはひと突きしてからは動かずにじっとシベリンの反応を見ている。

「あ、苦しい?ごめん」
肩で息をしているシベリンに気づいてすぐに口元が開放される。解放してほしいのはそっちじゃないと言いたいが肺は酸素を欲しがっていて、呼吸に勤しむ。
「そ…っちじゃな…っは…は、抜けよ…っ!」
やっとのことで言葉を紡いだがジョシュアは聞いているのかいないのか、やはり背後からシベリンを抱きしめているだけでじっと動かない。
「こんなになってるのに?」
気にもとめていなかった緩く反応した前をいきなり軽く扱かれて視界がちかちかする。
「あっ…!?あ、うぁ」
「後ろにオレのペニスが入ってるのにね」
「っあ、や…」
はっきりと何が入っているのか教えられ、更に鼓動が跳ね上がる。ゆるゆると前を弄られると下半身に力が入り、ただでさえ酷い存在感のそれのカタチをまざまざと感じさせられて。
「ぬっ、け…よ、こんな…おおきく…て、むり…」
シベリンからすれば頼み込んだつもりだが、抜いてくれるどころか言った途端圧迫感が増してきて。

「う…っ?あ、え、むり、おおきくしな……」
震えながら頭を振り、声に泣きの入ってきたシベリンの言葉に、思わずジョシュアは含み笑う。これは酷い煽り文句だ、と。
それでも動かずシベリンの昂りだけをゆるゆると弄っていく。
「っひ…っん、…ふ」
ジョシュアは全く動いてないが、前を触られて抗えないきもちよさに腰が引けて身じろぎする自分のせいで、ひどくゆっくりと揺さぶられているように感じてしまって歯痒い。
「ドロドロ…きもちいいね」
――なんで…なんでこんなに…。
寝ている間に散々弄られたのを知らないシベリンは、どうしてこんなにすぐにきもちがよくなってしまってるのかわからないし、経験があるはずのない後ろになんでジョシュアのモノがすべて入ってしまっているのかもわからない。
「あ……ああ、やめ、」
放ってしまいそうになるのを堪えようと腹に力を入れてしまうとジョシュアの昂りをまるで締め付けるように動いてしまいどうにもできない。
「我慢しない」
震える肩をするりと撫でると、片方の二の腕を掴むと少し体勢に無理があるが気にせず軽く引き肘に舌を這わせる。
「っは、んん、あ…」
片腕では自分の身体を支えきれず、シーツに着いた顎からは喘いで開けっ放しの口から唾液が伝い、掴まれていない手で力なくシーツを握りしめ震えるシベリンを背後からジョシュアは愉しそうに見ながら弄ぶ手の動きを乱暴にしていく。
「ほら、きもちいい」
「あっ…」
耳元で囁いてやると、シベリンの喉からひゅ、と音が漏れるように呼吸が不自然になり、軽く痙攣したように身体を竦ませたかと思うと自身から勢い良く白濁を散らした。つられて引き攣るように動く後ろに、収まっている自分の昂ぶりをきゅうと締め付けられてジョシュアは大きく息を吐いた。
「……っ、は、は…」
「うまく息できないの?」
「…っ、…っへい、き…っぁ」
「そっか、じゃあ」

――動くね。

ジョシュアは耳元で囁きながら少し起き上がり、伏せっているシベリンの左の二の腕を改めてしっかり掴み引き上げると、ゆるくグラインドしはじめた。
「ーえ!?っあ、うぁ」
放ったばかりというか、まだびくびくと震えている自身からは白い体液が滲み出ているのに動き始められ、シベリンは感じたことの無い焼き付くような快感に炙られて、もうどこがきもちいいのかもはっきりしないような渦に巻き込まれる。
「むり…っ、やめ…っあ!、ああ」
「平気だって言ったでしょ?」
「うぁ…あ、あ、っ」
ぬるぬると大きく円を描くように動かれて、引き攣れるような甘い痛みがぴりぴりと腹の底から駆け巡る。全身に力が入らずべったりとベッドに臥せってしまいたいが、ジョシュアが片腕を引いているのでそうもできず、四つん這いが崩れた体制を保ってはいる。
「すごくきもちいい…これじゃ、抜き差ししたらもっときもちいいよね」
六腑を引っ掻き回されるような暴力的な快感に正気を保つのが精一杯のところへの、ジョシュアのその言葉にシベリンはぞっとして、その先を知りたくなくて、身体は戦慄き呼吸の仕方を急に忘れてしまったように息が詰まる。
「む…むり…っ」
脱力した身体を叱咤して精一杯ジョシュアの方を向いてゆるゆると首を振る。
掴んでいた二の腕からジョシュアの手が解けて、するすると移動したかと思うと手首を掴まれて、シーツを掴んでいた方の手首も取られ、後ろを向いていられなくなって顔をシーツに着ける。
「顔上げてないと、シーツで擦れるよ?」
「っあ、あああ…あ!」
ずる…と後ろに入り込んでからこれまで、それ以上入り込みも出もしなかったそれが引き抜かれる感覚に全身が集中して肌が粟立つ。
そこそこ引き抜いてゆっくりと差し入れるとシベリンの身体全体がビクビクと撓って。
「う…っ、あ…あ…」
ジョシュアは自分はあまり動かず両手首を引っ張ってシベリンの身体の方を揺するようにしながら様子を見ている。もう着崩れて大部分が肌蹴てしまっているバスローブから覗く太腿は既に自重に耐えきれずへたり込んで、毎秒ごとに形を変えて送り込まれる未知の刺激にじわりと溢れた涙の伝う頬はジョシュアの揺さぶりに合わせてシーツの上をズルズルと往復して。だらりと力無く掴まれた両腕は手首から先が血が通わず色が悪くなって。開きっぱなしの口からは激しい呼吸と浅い喘ぎがせめぎ合って嗚咽として出て来る。
「あーあ…ぐちゃぐちゃ。」
気持ちよさに身震いしながらシベリンの痴態をじっと見ていたジョシュアは軽くため息をつく。
――こんなに乱せるのならば、もっと早く抱いても良かったかな。
いやでも、今日だからこそのこの仕上がりなのかもしれない。ジョシュアは直ぐに考えを改めた。
「んんっ、っは…あ…」
ゆるくひと突きするたびにびくりと身体を震わせ、喘ぐ声は少し掠れてきている。
「馴染んで来たかな…」
「ああっ…!!」
ぐんと腕を引くと今度は少し早目にシベリンを揺さぶり始める。顔と、肩と、シベリンの再び昂った自身がシーツに擦れた衣擦れの音に混ざってぬちぬちと2人が繋がった部分からも音が漏れる。
シーツには1度目に放った液体がぬるぬるとくっついていて、摩擦どころかねっとりと糸を引きシベリンの欲を滑らせ追い上げてくる。
シーツとの接触を避けたくて身を捩るが上手くいかない上に、ジョシュアとの繋がりをより深く思い知らされるようで堪らなくなって。
――なんで、なんでなんで…こんなに…!!
「あれ、またイきそう?」
震える身体とうねる中の感触にジョシュアが動きは休めずシーツのラインを覗き込む。
「あ、擦れてきもちいいんだね」
わかっているけど認めたくないことをすんなりと口に出され耳元がカッと熱くなる。
「恥ずかしい?」
優しい声音にそぐわない力で揺さぶられ、シベリンは頭を振って正気を保とうとするがあとはなす術もなく喘ぐしかない。呼吸もうまくいかないし、羞恥であかく染まった頬はすぐに快感による熱さで更にあかく塗り替えられる。
「ふ、中がうねうねしてる。こっちもいいの?」
「――っふ、あ、や……!」
そんなことない、もうやめてくれ、思い浮かぶのは一瞬で、口から出るのは耳を塞ぎたいような喘ぎだけで。何か考えて気を散らしたいのにそれを知ってか阻む様にジョシュアがどんどん揺する動きを速めながら厭らしく話しかけてきて頭の中も身体もどんどん昂ってしまう。
「我慢してないでイきなよ」
「っう……」
「見ててあげるから」
「っひ、あ、……あぁ」
ふとジョシュアがぐいと腕を引いてぴたりと動きを止めると、力が入ったのかきゅうとまた中が狭まる感覚がして、ぱたぱた、と液体がシーツに散る音がした。
シベリンは掴まれた両腕をもがかせながらランダムに引き攣る身体を自制できずひくつき、涙と同時に溢れた鼻をずるずると啜った。
「っは、は、は…」
なんとか息を整えようと自由にならない体勢のまま蹲るシベリンの腕を離してやると、繋がりはそのままに顔を見る為に覆い被さる。
まっすぐシーツに顔をつけている所を無理やり浮かせて見る。右の額と右頬にあかく擦れた痕がついて、どこにフォーカスしているのかわからない金の瞳を縁取る枠からはぽろぽろと涙が溢れ、リズムの乱れた荒い息の出てくる唇は涎でぬらぬらと光って見える。
「頬が赤くなってる…顔がつかないように起きようか」
「あ…え、まっ…」
脇から腰に指を滑らせるとびくびくと勝手に背が撓って、シベリンはいやいやと首を振る。ジョシュアは覆いかぶさって抱き込んでいたシベリンをそのまま自分と一緒に起き上がらせると上に乗せたままベッドに座り込もうとしている。
まだ一度も放っていない強度を保ったジョシュアの自身を中に収めたまま座らされそうになり、思わずへたった脚に力を入れそれを回避しようとシーツを掴むと…背後からくすり、と笑われた。
「何が怖いの?貴方がオレを好きだってことは、もうわかってるから隠さなくてもいいんだよ」
「…そ…んなこと…」
「それとも、大嫌いな相手にこんなことされて、何回もイっちゃうような人なの?」
言いながらジョシュアが腰を掴んできて、膝の上へ強引に座らせてくる。
「うぁ…!…っは」
さっきの体勢よりも何倍も深く入ってしまっている感じがして思わず瞑目する。
「それとも、オレからの睦言を待ってるの?」
「あぁ、あ、ああ」
ジョシュアは自分が質問しているのに、まるで答えられなくしたいかのように、シベリンの声が上がるような動きを仕掛けてくる。
答えられない、何か思いついてもそれは一瞬で快楽の波に飲まれて泡になって。シベリンの中に収まっているそれはただでさえ息が詰まるほど苦しい存在感を放っているのに、腰を取られ思うまま揺さぶられて突き上げられて、心の臓が飛び出すのではないかと思うほど鼓動して。
「うぁっ!?」
細かく角度を変えながら突き上げていくうちに、酷くシベリンの反応する一点を掠めたようで、ここか、とジョシュアは舌なめずりをする。
「オレが言ったら、貴方も言わなくてはならないよ」
場所を把握したがそこはあえて突かずに周辺を攻め立てていく。
「ふ…あ。あっ…」
「貴方も言ったら、もう全てオレのものだってことだ」

「も……って…い」
シベリンは喘ぎながら何か口にしたが、息が切れていてよく聞き取れない。
「うん?」
聞き返しながらも攻める動きを一向に止めないジョシュアにシベリンは必死に言葉を紡ぐ。
「あ…もう…っなにも残ってな…い!」
「それって…」
「ぁあ…!も、おっきくしな…」
猛るジョシュアの欲に逃げ腰になるシベリンを押さえ込むと顎を掴んで顔だけ自分の方に向けて。
「ちゃんと言って?」
全部わかっている癖に言わせようとしているのを知ってか知らずかシベリンは困ったように眉を下げる。
「…ぁ…もう…とっくに…ぜんぶ、おまえの…なの…に…おまえの…せいで…」
――これ以上なにがおまえのものになるんだよ…何も残ってない…俺が怖いのは――。
片膝を背後から抱え込まれ休みなく突き上げられて、堪えられずに途中から嗚咽になって、苦しくなって、シベリンはしゃくり上げてしまい全部言えずに飲み込んで、新たに湧いてきて零れ落ちる涙をジョシュアがぺろりと舐めてやる。

「オレは離さないよ」
最早限界まで昂ったジョシュアの欲が狙わずとも突くたびシベリンの弱点に触れて、ひっきりなしに喉奥から押されるように出てくる掠れた喘ぎと繋がりから厭らしく漏れる水音が聴覚を撫ぜる。
「どんな貴方を見ても、貴方が壊れても絶対離さないよ…」
「ぅあ…」
耳元で優しく囁かれ、そんな言葉と裏腹に身体を荒々しく貫かれて、シベリンは総毛立つような愉悦にのまれて頭のなかがちかちかと瞬いて真っ白になった。
「く……ッ」
もう少し、もう少し熱く波打って自身をしめつけるシベリンの中に留まっていたくて、堪えるように息を詰めていると、細かく震えながら自分を抱きすくめるジョシュアの腕にシベリンが触れてきた。これまで大体ジョシュアに掴まれて押さえられているか、シーツかシャツを握りしめているだけで自分から触ってくる事などなかったのに。


「ぁ…きもち…い、ジョシュア…」
低く掠れた、熱に浮かされたような声と共に、縋るように腕を掴まれて。
「は…それ、今言う…?」
ジョシュアは放つつもりのなかったシベリンの奥へ昂ぶった熱をすべてぶちまけてしまった。

 

「ね、いいかげん出ておいで」

あまりの快感にうっかりジョシュアに心の内を吐露してしまった事がだめだったのか、事後半ば強引に言いくるめて一緒にシャワールームに入って中に放ってしまったものをジョシュアがきれいにしたのがいけなかったのか、そもそも寝ている所に勝手に手を出して起きると同時にいたしてしまったのが良くなかったのか――。
――はは…思い当たる節しかないな。
張り替えたベッドのシーツの上で予備のシーツを被って丸くなって出てこないシベリンにジョシュアが軽く肩を竦める。
「シベリン」
頭頂部と思わしき部分をぽんと軽く叩くとびくりと跳ねる。
有無を言わさずにシーツを剥ぎ取ると、シベリンは諦めたように顔を上げジョシュアの方を見た。
「なんだ…よ」
散々喘がされて声が枯れていることに気づいて一瞬固まったシベリンの視線が彷徨う。
「まだ朝まで時間がある、こっちにおいで」
クッションカバーもすべて交換したのか柄が変わったそれをポンポンと叩いて先に寝転んだジョシュアに呼ばれて。
「…そんな風に呼んで来ると思ってるのかよ…」
ジョシュアは思いの外喋ってきたシベリンに驚いたのか目を丸くしたがすぐに目尻で笑んで。
「来るよ、こっちに来たい顔してるもん、おいで。」
「…俺は犬じゃない…」
「おいで。」
「っ……」
ジョシュアは不服そうな顔のままどすりと横に座って来たシベリンの後頭部を抱き寄せるとそのまま唇を奪う。
「んうっ…!?」
驚いたがつい習慣で唇を開いてしまえば暫く口内をねっとりと貪られて開放される。
「っは、え、なに…」
「すぐに来なかった時間の分キスしただけだよ」
「え…」
「もっとしたい?」
(これでまた延ばすとキスが延びるのか?でも、すぐにしたいなんて答えたら俺がしたかったみたいじゃないか…)

「……したく…なく…ない」
耳と頬をあかくして憮然とした面持ちで否定のような肯定を口にする恋人に、ジョシュアはどう答えても結局キスすることにかわりは無いんだけどな、と。苦笑しながら口付けた。


軽くじゃれあったあと、うとうとと目を閉じてしまったシベリンの背中を寝巻きの上から撫でる。そのまま肩、肘、手首と手をすべらせて行くとシベリンの手が自分のパジャマの裾を掴んでいることに気づく。
――控えめで分かりにくいことこの上ないな。
「どこにも行かないし、行かせない」
勿論お互い学業として仕事として離れなければならないことはあって、行かなければならないし送り出さなければならないわけで、それでもそのような気構えであることを、聞いていなくてもいい。言っておきたくて。
初めて貴方を本当に見た日のオレのまま変わっていなかったら、今どう扱っていたか見当もつかないけど。途中から本当に欲しくなって、本当に全部見たくて。


「手に入ったと思う?」
ジョシュアは自分で自分に聞いて。自嘲気味に笑った。

 

 

 

食堂のテラス席の周辺には、巨木が根を据えていて青々とした葉が茂り初夏の昼の日射しもテーブルに届く頃にはちょうど良く和らいで、強めの風も相まって気持ちがいい。
縦長のテーブルには食後の寛ぎムードになっているランジエとボリス、ジョシュアとシベリンがそれぞれ隣に座り向き合ってゆっくりとしていた。
他愛もない教授の悪口、寮の噂、それぞれの任務の話。仲の良好な彼らの話は尽きない。
「そう言えば、朝から帰って来たんですよね?眠くないんですか?」
「ん~、なんてことないよ。ありがとな」
ランジエに話を振られたシベリンは確かに朝方所用から戻ってたいして休みもせずそのまま講義に出てきたようだが、本人はいつもの調子で気さくに笑って。
それを横から面白そうな表情で見ているジョシュアとそれに気づいていないシベリンを交互に見てランジエが首を傾げる。
「最近二人でよく居るけど、随分仲良くなったんですね」
「はは、そんなにか?大して変わってないと思うけど」
すかさず否定を差し入れるシベリンを横目にジョシュアは悠然と微笑んで。
「変わってないだなんて傷つくな」
言いながら離れ気味に座っていた隙間を詰めて肩が触れるほど近くに座り直してきて。シベリンは思わぬジョシュアの行動にぎょっとするが、ここで大騒ぎして離れようものなら逆に不自然なのでぐっと堪えて曖昧に笑って。
「暑いんだからそんなに寄るなよな~」
離れたくても長椅子の端だったのでそれ以上動けずに、仕方なく諦めて身体が触れたまま座っている事にした。触れた面を通して今やすっかり身に馴染まされてしまったジョシュアの体温が伝わってくる。
幸いその話題はそこで途切れて緩やかな食後の時間が流れて。
――んん、暑くはないけど、飯食った後にこう暖かくなると…

「で、その時ルシアンが考えもせず放った電撃のせいで池の魚がこうー」
紙ナプキンに図解しながらランジエがルシアンの失敗談を話していると。
「あ」
「飛び上がって…え?」
それまで黙ってランジエの横で話を聞いていたボリスが急に声を上げたことに驚いて彼を見て、彼の視線の先を追うと。

かくん、とジョシュアの肩にシベリンの頭が寄りかかっているところで。
風に揺れてあかい前髪が顔を晒すと、うとうとと寝入ってしまっていて。
「…シベリンさんがうたた寝してるの初めて見たな」
ボリスが興味深そうに眺めながらそう言うとランジエも確かにそうですね、と相槌を打って。
(外でしかも人前でこうも緩んでしまうなんて、オレが隣だからだよね。冥利に尽きるけど…)
ジョシュアはずるずると凭れてきているシベリンの頭を器用にずらして自分の膝に乗せてしまう。テーブルの下に恋人のあどけない寝顔を隠すことに成功したジョシュアは何食わぬ顔で食べかけのジェラートを口にした。
「…隠さなくても別に何もしないよ」
揶揄しても怒っても笑ってもいないフラットな言い方でボリスがぽつりと言って。
「減ってしまっては困るからね」
頬杖をついて微笑むジョシュアと表情の動かないボリスを交互に見ながらランジエが「えぇ?」と驚いたように声を上げる。
「…え?」
「ランジエ、行こう。ランチタイムは終了だ」
「??」
疑問符を撒き散らすランジエを横目にボリスはすっと立ち上がると自分のトレーと一緒にジョシュアやシベリンのトレーを重ねて片付ける。
「悪いね」
「別に、いい」
ちらりとジョシュアの膝上のシベリンを見ると淡い藤色のカーディガンを体に掛けられて、リラックスした寝顔で。
「それも、ラベンダーの香り?」
「…ボリスは鼻が利くんだね、それがどうかした?」
去り際ボリスにしては珍しくふわりと笑って。

花言葉が、あなた達みたいだー」
「え…、え?若様…」
何も把握できていないうちにボリスに置いていかれ、ランジエはジョシュアの視線を感じると慌ててトレーを掴んではや足でボリスを追いかけて立ち去った。

――自分のことには疎そうだけど、予想以上に聡いんだな。
吹き抜ける初夏の風がシベリンの髪をふわりとかきまぜて放る。

「清潔…沈黙……繊細…優美…不信…疑い…期待…」
眠る恋人の髪を撫でながらジョシュアがぽつりぽつりと囁く。

「あなたを待っています…」


「私に、こたえてください…か」

ひと通り知識として知っているラベンダーの花言葉を並べて、ジョシュアは肩をすくめてくすりと笑った。
「そうかな?」

 

 

 


「なんで起こしてくれなかったんだよ」


起きたらもう日が暮れていて、テラスに居たはずがジョシュアの部屋で、着ていた制服は部屋着になっていて。一緒に居たボリスやランジエはどうしたのか。シベリンは寝転がったまま、とりあえず一番の不満を頭上で足を組んでソファーに腰掛けているジョシュアにぶつけてみる。
「…頼まれなかったからかな」
予想通りの返答にシベリンは口をへの字に曲げてむにゃむにゃと動かしたがそれ以上追求はしない。
「いてて…」
毛足の長い絨毯に寝かされていたらしく身体を少し起こすとみしみしと四肢が軋んで眠っていた時間の長さを思い知った。
「おいで」
真上のソファーから艶然と囁かれ、黙って起き上がってジョシュアを見上げると優しく押し当てるだけのキスが降ってくる。
「…ん…」
自分を見上げてくる金色の双眼はべっこう飴のように煌めいていて、誘われるように唇を落とすとくすぐったそうに目を閉じる。
キスだけで離して立ち上がろうとすると不思議そうに見つめてくるシベリンの視線を感じて。
「何か問題が?」
「なにもしないのか?」
「なにかされたい?」
「…っ、そんなんじゃない…いつもなにかしてくるから…」
「…そんなにいつも何かしてたかな」
間を置かず頷いてきたシベリンを見て、ジョシュアはソファーにもう一度座りなおす。
「オレはシベリンと、お菓子を食べたり…喋ったり…そういうこともしたいと思ってるよ」
これまで自分がシベリンにしてきたことをなんとなく思い出してみると、確かに体目当てのように勘違いされても仕方がないのかもな、とジョシュアは自嘲した。
「眠らせてあげる代償に悪戯していたわけじゃないんだけどな」
「…じゃあ、最初からお茶に誘ってくれれば俺だって…」
「オレは偽りで塗り固められた仮面とお茶は飲まない」
いつも作り上げた理想の「シベリン」でいることが全くばれてはいないとは言え、少なからずそれが仲間をある意味欺いているという自覚があるのか、ジョシュアの言葉にシベリンはひどく傷ついた顔をした。
「オレの前では飾れずにぐちゃぐちゃなのがいいんだよ」
「…悪趣味だ」
「そうだね。悪趣味なオレとお茶でもいかが?」
巫山戯て悪そうな顔をして、顎を指で掬ってそう言うと。


「…ふ、どんなだよ」
思わず破顔したシベリンの久々に見る白い歯の覗く笑い方にジョシュアの心音が跳ね上がって。
ソファーからずれるように降りるとシベリンの脇に腕を入れて抱え上げるように抱きすくめ、首元に唇を当てるとぴくりと体が跳ねる。
「あ…っえ、お茶するんじゃないのかよ」

片手で背筋を上から腰までなぞっていくと うあ、とシベリンの声が上がって。
「お茶の方がいい?」
きつい抱擁から開放して両手で頬を包んで、じっとちかくで目を合わせてやるとシベリンの金の瞳が揺らいで瞬いた。
「聞くなよ…やっぱり悪趣味だ…」
そう言いながらもジョシュアから唇をすりあわせると、待ちきれないように唇を開けて。
「何とでも言えばいいよ」
くすりと笑ってさらりと前に流れてくるあかい髪をよけると深く深く口付けた。

 

 


手に入った。酷く脆くて素直じゃなくて、触るとすぐに溶けて甘く光る、オレの紅いお星さま。